現在日本の総人口は平成24(2012)年10月1日現在、1億2,752万人います。
その内、65歳以上の高齢者人口は3,079万人で、総人口に占める65歳以上人口の割合高齢化率は24.1%、前年23.3%になり、約4人に1人が65歳以上になります。
高齢者人口はいわゆる『団塊の世代』昭和22(1947)〜24(1949)年に生まれた人が65歳以上となる平成27(2015)年には3,395万人となり、その後も増加を続けると思われ、2042年に3,878万人でピークを迎える予想になっています。
その後も高齢化率は上昇し、2060年には高齢化率は39.9%に達し、2.5人に1人が65歳以上になると思われます。
そこで、高齢者の方が快適に生活をするため、また、今はまだ大丈夫でも将来安心できる生活を送るため、そして妊婦さんや小さなお子様のいるご家庭にもお役に立つような工事をご紹介いたします。
また、要介護者か要支援者がいらっしゃるお宅では介護保険がお使いになれますので、その説明もさせていただきます。
段 差 を 解 消 す る
現在、段差のない住宅が当たり前になりましたが、まだまだ段差のある住宅が多くあります。年を取ると僅かな段差でも転倒してしまう事がありますので、段差を解消する事によって転倒予防になります。
一番なのは床を張替え、高さを合わす事です。特に生活に必要な部分の段差をなくすだけでも格段に快適になると思います。工事は比較的簡単にできるものから、大がかりな工事になる場合もありますので、お気軽にご相談ください。
もっと簡単で、費用をおさえたい場合はスロープを付けるだけでも効果的です。スロープがあるだけで、車椅子が必要になっても対応できます。
手 す り を つ け る
手すりをつける場所としては階段・廊下・トイレ・脱衣・お風呂(専門の工事が必要)・玄関・外階段等があります。特に階段はお年寄りだけでなく、全ての人にとって手すりがあるほうが安全です。トイレや脱衣等の立ったり座ったりする場所も手すりがあるだけで格段に楽になります。
扉 の 交 換
扉はドアよりも引き戸のほうがより安全に生活できます。ドアの場合は開け閉めに移動が伴いますし、戸の影に人がいた場合、怪我につながる事もあります。
また、車椅子を使う場合も引き戸のほうが断然使いやすいです。この時、取っ手も握りやすい物を付ける事をおすすめいたします。
また、ドアの場合、もしも中で人が倒れたりした時に、部屋側(内側)に開くドアだと倒れた人でドアが開かなくなる場合もありますので、廊下側(外側)に開くように付けるほうが安心です。
廊 下 や 間 口 の 拡 幅
これらは車椅子や歩行器等を使う場合に必要になってきます。車椅子を自宅で使用する場合、車椅子にもよりますが、少なくとも120cm以上、その場でターンをする場合は150cm以上が必要になると思います。この数字以下でも使えるものもありますが、介護する方や、廊下に物や手すりがある事を考えると余裕を持った寸法にする事が望ましいと思います。同様に間口75cm以上が理想です。
ただ、拡幅の工事(特に廊下)は大がかりな工事になりやすいので、期間や費用(お見積もりは無料です)等、お気軽にご相談ください。
また、工事の際に、夜間にトイレに行く事を考え、一緒に足元灯を設置しておけばより安心です。
階 段
階段はもっとも事故の起こりやすい場所の一つです。よくいわれる『鉄砲階段(一階から二階が一直線の階段の事)』は転倒した場合に下まで落ちてしまうため、大きな事故につながりやすいので、できるなら90度、または180度に曲げて、平らな踊り場を設ける事が望ましいです。蹴上げ(段差)の高さも20cm以下が望ましく、踏み面(幅)も25〜29cmが理想的です。あとは手すりの設置(両側が理想)やフットライト(足元灯)を上り口と下り口に設置する等の明るさ対策をする等が効果的です。上り下りに苦痛を感じる場合は階段昇降機やエレベーターの設置もおすすめです。
ト イ レ リ フ ォ ー ム
現在和式のトイレを使っている方は洋式のトイレに変える事で格段に快適になります。あとは手すりや暖房の設置、滑りにくい床にする、扉を引き戸にする等も合わせてされるとより安心で快適になると思います。
そして、寝室と同一階(近いほうが望ましい)にする事で、夜中のトイレ等が楽になります。
脱 衣 ・ 浴 室 リ フ ォ ー ム
手すりの設置や、段差の解消、扉を引き戸に交換する等も大切なのですが、特に気をつけなくてはならないのが、冬のヒートショックと転倒による事故ではないでしょうか。ヒートショックとは暖かい場所から寒い場所に移動した時等に起こる症状で、急激な温度変化によって体に過度の負担がかかり、脳梗塞や脳出血・心筋梗塞等を起こし、最悪の場合は死に至る事もあるのです。特に裸になる脱衣・浴室ではヒートショックを起こしやすいので、注意が必要です。対策としては天井に温風暖房機を設置する等がおすすめです。また、転倒防止には滑りにくい床(足を置いた時に滑りにくく、ヒヤッとしにくい床もあります)に変える事をおすすめいたします。
洗面台も、毎日顔を洗ったり、歯を磨いたりする場所ですので、足を下に入れて座ったまま使えるタイプの洗面台だと楽にお使いいただけると思います。車椅子の場合を考えると脱衣場も十分な広さが必要になります。
キ ッ チ ン リ フ ォ ー ム
日々家族の健康を生み出すキッチン。特に女性の方は毎日使うキッチンが使いにくいと大きなストレスを感じてしまうのではないでしょうか。皮むきや煮込みの時等に座って料理ができるタイプのキッチンを選ぶと楽になります。このタイプのキッチンは車椅子にも対応しています。コンロもIHクッキングヒーターに変えれば火を使わないので安全ですし、お掃除も楽になります。また、食器を洗うのも結構大変ですので、食器洗浄機に任せてしまえば立ち仕事が一つなくなり、自分の時間も増やせます。床材は水に強く、濡れても滑りにくいものを選びましょう。
玄 関 リ フ ォ ー ム
家と外をつなぐ玄関は買い物や散歩等に出かける時に必ず通る場所です。しかし、玄関が不便だとつい出かけるのも億劫になってしまいますね。玄関の最大のポイントは三和土(タタキ)と框の段差です。一般的には15cm程度ですが、昔のお宅では50cmくらいある所もあります。段差解消の方法としては階段やスロープを作ったり、ベンチや踏み台を設置したりする方法があります。この時に手すりも一緒に設置するとより安全になります。また、他の場所と同様に、滑りにくい床と十分な照明も一緒に考えられたらいいと思います。
居 間 や 寝 室 の リ フ ォ ー ム
居間は朝起きてから寝るまでの間で、一番長い時間を過ごす所です。そして夜眠る寝室。生活をする上で、一番快適にしたい場所でもありますね。段差の解消や必要な部分に手すりを設置する、間口を広くし、できれば引き戸にする、床材は滑りにくいもの、十分な照明(リモコン付きが便利です)、暖房器具はエアコン(お値段は高くなりますが、十分な暖房性能を持っているタイプのものもございます)やFF(灯油のタンクと配管工事が必要になりますが、給油の手間がいりません)等がおすすめです。
また、ヒートショック対策として、床暖房(全部屋をするのは大がかりなリフォームが必要ですが、電気で必要な部分だけ床暖房にする事ができます)もおすすめです。
減 築 リ フ ォ ー ム 

リフォームというとまず増築や改築をイメージされる方が多いと思いますが、シルバーライフを迎えるにあたり、減築リフォームが注目されています。お子様等が独立されれば使わない部屋が増えてきます。そんな時は減築リフォームがおすすめです。メリットとして、例えば二階建てを平屋に減築する場合等は階段の上り下りがなくなりますので、階段での事故が防げますし、耐震性能も上がります。同時に断熱工事をすれば冷暖房効率もよくなり、光熱費も節約できます。掃除等の維持管理も楽になりますね。
減築というと何か減るようで損をするイメージがありますが、実際は快適サイズにリフォームをするというのが正しいと思います。
介 護 保 険 に つ い て
介護保険制度とは要介護者、または要支援者がバリアフリー工事をする場合に、工事費の90%が支給される保険です。
●受給対象者
要介護認定で『要支援・要介護』と認定されている事
改修する住宅の住所が被保険者証の住所と同一で、本人が実際に居住している事
●助成額
助成額は工事費(上限20万円)の90%が保険から支給
●対象となるリフォーム工事
1.手すりの取り付け
玄関や、玄関から道路までの通路、廊下、便所、浴室等に、転倒予防、移動、移乗動作のための手すりの設置。
2.段差の解消
玄関から道路までの通路の段差や居室、廊下、便所、浴室、玄関等の各空間の床の段差解消のための工事。
3.滑りの防止、移動の円滑化等のための床や通路面の材料の変更
浴室(滑りにくい床材への変更)、居室(たたみ敷きから板製床材、ビニール系床材等への変更、通路面の滑りにくい鋪装材への変更)。
4.引き戸等への扉の取り替え
アコーディオンカーテンへの取り替え、開き戸を引き戸や折れ戸への取り換え、ドアノブの変更、戸車の設置等。
5.洋式便器等への便器の取り替え
和式便器から洋式便器(暖房・洗浄機能付き等)への取り替え工事。
6.その他、上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
壁や柱の改修工事、便所の給排水設備工事、壁の下地補強、浴室の給排水設備工事、下地補強や根太の補強、床材の変更。
●支給を受け取るには
下記の必要書類を揃えて、市町村の介護保険課に届け出ます。
・領収書(本人名義)
・工事費内訳書
・改修完了確認書(改修前・後の写真を添付)
これらの工事はシルバーライフを快適にするでけでなく、怪我や事故の予防にもなります。
また、人に頼らず自分でできる事が増えるため、自立度をアップさせる事ができますし、介護する方の負担も軽減されます。
それにより精神的なゆとりも生まれて、健康的な生活を送る事ができます。
人は心のゆとりがなくなるとイライラしたり、つい相手を思いやる事ができなくなってしまいます。
みんながゆとりを持ち、尊重しあう、そんな家庭を築くためのお手伝いができたらと願っております。